フェライト子ども科学館は、真上から見ると六角形。フェライトの結晶の形をしている
世界約30カ国に生産拠点やグループ会社を持つTDKの創立者で、「フェライト」の工業化に成功した齋藤憲三氏は、にかほ市出身です。フェライトとは磁性体(電子素材)のことで、私たちが使うスマホや電子部品に幅広く使われています。
専門的な言葉ですが、科学リテラシーの高いにかほ市の子どもたちの間では常識!「フェライト子ども科学館」は、それを象徴するミュージアムといえます。
齋藤氏と山崎氏の歩みを年表や模型で紹介するメモリアルホール。両氏の貴重な映像も見ることができる
科学館には大きく2つの目的があります。1つは、齋藤憲三氏と、フェライトの工業化を発展させた山崎貞一氏の功績を語り継ぐ目的です。齋藤氏はTDK創業者や国会議員として知られる偉人ですが、その成功までには炭焼き・養豚・養鶏・アンゴラ兎の兎毛販売・塩作りなどなど…「2勝98敗の男」と呼ばれるほど多くの失敗も繰り返しました。メモリアルホールは、二氏の功績を通して“諦めない精神”を伝える場にもなっています。
宇宙をイメージしたエントランスから館内奥へ「地球トンネル」を潜っていく。徐々に地球が近づいてくる
もう一つの目的は、科学に親しみ学習する場を提供すること。フェライトにちなんだ磁力を使った展示のほか、人間が入ることのできるジャンボシャボン玉、米村でんじろう先生が解説するゲームやクイズなどなど盛りだくさん。学習の場といっても堅苦しさはなく、楽しみ、体験し、身体を動かしながら科学の不思議に親しめます。子どもはもちろん、大人も「どうして!?なぜ??」と目を丸くしてしまいますよ。
館内には、実際に膨らんで上昇する熱気球が!奥には滑るとメロディが奏でられるメロディ滑り台も
出題される気象条件に合わせ、風力・水力・太陽光の中から一番効率のよい発電方法を選ぶ対戦ゲーム
約70種類の展示物がある館内は、秘密研究所のような雰囲気でわくわくする
常設の展示だけでなく、磁石を使った体験教室や、3Dプリンター教室、近年はオンライン教室にも力を入れるなど、時流を捉えながら常に新しい科学を伝えています。
さきほど、にかほ市の子どもたちはみんなフェライトを知っているとご紹介しましたが、それは同館が市内全ての小学校の3年生と5年生を対象に、磁性にふれあう「移動実験教室」を開催しているからです。
市内にはフェライト子ども科学館のほかに、「白瀬南極探検隊記念館」「象潟郷土資料館」「斎藤宇一郎記念会」「TDK歴史みらい館」の4つのミュージアムがあり、各施設が連携しながら豊かな歴史や文化を発信しています。にかほ市の偉人たちの功績や情熱に触れれば、未来の可能性に胸がときめくことでしょう。
【フェライト子ども科学館】
さて、最後はオランダから移住したご夫妻が営む、人気のベーカリー&ビストロへご案内します。